
はじめに
英語のリスニング力を高めるうえで、「全体を捉える力」は欠かせません。
一見、株式投資とは関係がなさそうですが、実は深くつながっています。
私は外資系証券会社で18年間、株式トレーダーとしてグローバル市場の最前線に立ってきました。
日々刻々と変化する相場を見ながら、「一部ではなく全体を見ることの重要性」を痛感してきました。
そして現在、英語コーチングの現場で指導をしていても、同じ考え方が通用することに気づきます。
株式投資で大切なのは“全体を見る力”
株式投資では、特定の銘柄に注目しても、株式市場全体の流れを把握していなければ正しい判断はできません。
株価を左右する要因は多岐にわたります。
企業業績、業界動向、為替、金利、各国政府の政策、さらには海外市場の影響――。
どれか一つではなく、それらが複雑に絡み合って市場は動いています。
私がトレーダーとして働いていた頃、朝起きてまず行うのは「前夜の海外市場のチェック」でした。
その動きを踏まえて、東京市場がどのようにスタートするかを予測します。
買いが優勢なのか、売りが強いのか。どの業種が動きそうか。
この全体の“流れ”を掴んでいなければ、個別銘柄の値動きを正しく読み解くことはできません。
英語リスニングも同じ構造
英語のリスニングも、実は同じです。
耳に入ってくる一語一語にとらわれすぎると、全体の意味を掴めなくなります。
「知らない単語が出てきた」と思った瞬間、意識が止まり、その間に話者は次の文へ進みます。
結果として、「全体として何を言っていたのか分からなかった」となってしまうのです。
リスニングでは、完璧に聞き取ろうとするよりも、まず「この人は何について話しているのか?」という**大きな流れ(general message)**を意識することが大切です。
ベリタスでの実践:全体を捉えるリスニング
ベリタスでは、ビジネスリーダーの英語インタビューを題材にディスカッションを行っています。
受講生にはスクリプトを見せず、音声を一度だけ聞いてもらいます。
聞き終えた直後、多くの方がこう言います。
「3割くらいしか聞き取れませんでした。」
私はこう伝えます。
「全部聞き取れなくて大丈夫です。まずは全体の流れを掴んでみましょう。」
そうすることで、単語ではなく“意味のまとまり”として英語を捉えられるようになります。
全体を見る力が理解力を深める
英語リスニングも株式投資も、「部分」ではなく「全体」を見ることが成果を左右します。
全体の流れを先に掴み、そこから細部を補う――この順序を意識することで、理解の精度とスピードが格段に上がります。
トレーディングで養った“全体を読む目”は、英語学習にも驚くほど応用できます。
全体を見渡す視点を持てば、英語もビジネスもより深く的確に理解できるようになります。
So what? ― では、どうやって「全体を捉える」リスニングをするのか
では、「全体を捉えるリスニング力」をどう身につけるか。
ここで意識したいのは、“聞き方の姿勢”と“事前の準備”の2つです。
① クリティカルな気持ちで耳を傾ける
リスニング中は「要は何が言いたいのか?」という視点で聞いてみましょう。
英語を逐語的に追うのではなく、**メッセージの本質を探る“批判的リスニング”**を意識します。
話者がどんな立場で、どんな目的を持って話しているのかを考えるだけで、理解の解像度が上がります。
② 聞く前に“仮説”を立てる
リスニング前に「これからどんな話が出てくるか」を想像しておくと、頭の中にフレームができます。
これにより、聞き取る情報を“整理して受け止める”ことができます。
もう一段深い “So What?” ― 仮説をどう立てるか
仮説立ての力を高めるには、次の2つの視点が有効です。
① 話し手のバックグラウンドや業界を手がかりにする
例:テクノロジー企業のCEOなら、AI・市場戦略・人材育成などが話題に上がる可能性が高い。
② 時代や社会のトレンドからテーマを予測する
例:最近の経済ニュースや国際情勢から、「どんな話題を掘り下げそうか」を想定しておく。
このように「聞く前に思考を走らせておく」ことで、リスニング中に情報を点ではなく線で結ぶことができるようになります。
それが“全体を捉えるリスニング”への第一歩です。
まとめ
英語リスニングも株式投資も、「全体を見る力」が成果を左右します。
そして“全体を捉える”とは、単に情報を集めることではなく、背景を理解し、仮説を立て、要点を見抜く力を磨くことです。
部分ではなく全体を捉える視点を持つことで、
リスニングも、ビジネスの判断力も、より一段深い次元へと進化します。
ベリタスイングリッシュ | 中上級者向け 短期集中 ビジネス英語 コーチング
Veritas Coach
Mikiya Mori
Mikiya was born and raised in Gifu. He was fascinated to learn English when he was in junior high school. He practiced English words and sentences every day because he wanted to go to America. At college, he earned a study abroad opportunity in Seattle. His American experience really opened his eyes. As for career, he worked at Goldman Sachs and JP Morgan in the equities division for 18 years in Tokyo, London, and New York. In his 40s, he earned a Doctor of Education degree at University of Southern California to prepare himself for a career in education. Back in Tokyo, he managed an MBA program for mid-career managers as the program director for 12 years at Temple University Japan Campus. For many years, he wanted to help Japanese business professionals to be able to express themselves confidently in English and develop global mindset. Those qualities brought him many opportunities so now he wants to give back to society. Mikiya discovered Veritas whose mission matched with his passion. He believes in lifelong learning and hopes to contribute to students by sharing his experience. With the help of strong team, he is excited about the opportunity to inspire students to become global leaders of tomorrow.
